PRODUCTS

夢十夜in白山


ビブリオサロン夏の特別企画【夢十夜in白山】レポート

葉月七日戌の刻【夢十夜in白山】

満員御礼!

ちりん・・お仏壇のリンが鳴る

それは、ゲスト出演美雨さんの、『破られた約束』で幕を開けた

小泉八雲怪談集から身の毛もよだつ物語

美雨さんの低くかすれた声が、旧料亭の古色蒼然とした座敷を

この世とは思えぬ世界に変える

廊下からかすかに鈴の音

一歩また一歩と近づいてくる

「出ておいき・・わたしのこの家から・・・」

地の底から響くような女の声

灯りがほのかにさす格子窓は、時折吹く風にガタガタと音をたて

客席からはしわぶきひとつなし

そして静寂のうちに

朗読劇『夢十夜より、第一夜』

オフェーリアの如く横たわる女は白百合の精か

三味の音(ね)がひとかき

凄みを利かせたひとよたけさんの語りを引き立てる

~ べべべん♪ ~

女を墓に埋める男の手には星の破片(かけ)が煌めき

ホリゾントには唐紅の天道が

東から西に東から西に

上っては落ち上っては落ちる

やがてゆっくり百合の花が開き

妖しく輝いて強い香りを放つ

(ん~心憎い演出)

「百年は、もう来ていたんだな」

お次は勇祥さん、御年79歳

“吉田松陰『辞世』”で朗々と館を揺るがす

実に渋い&あたりを睥睨

「吾今国のために死す・・・」

「身はたとひ武蔵野の野辺に朽ちぬとも留め置かまし 大和魂」

松蔭の魂魄が乗り移ったかのような

鬼気迫る詩吟であった

同時開催の冥途カフェでは、お化けマークの綺麗どころがご接待

無理やり連れてこられた・・(あっと、間違えた)

コホン

今宵を心待ちにしていたお客様方は

その妖気とワインでほろ酔い気分

お客様の中にはなんと金沢文庫からいらした方も

次回はいよいよ後編に

会場が暗く写真不鮮明ですが

乞うご期待

にわか特設劇団“響”座長

葉月のご報告です

怪奇短編“Harry”を携えて登場したのは

妖精のようなMIWAさん

斜め坐りのほっそりした姿とアメリカンな語り口

「ふふん・・」「え、そう、それで?」

畳み掛けるようなセリフ回しに

可憐な色香が漂う

しかし

甘やかな息遣いはひたひたと不安をかきたて

リフレイン

「日なた。芝生の上のくっきりした人影。白いバラ・・・」

それが

ミステリーゾーンへ誘(いざな)う呪文だったことに

気付いた時は

後の祭り

さて終盤。そろそろ現世(うつしよ)に

ということで

『和吟のものまね歌謡ショー』

かすれた声で歌うは中森明菜[難破船]って・・似て・・い・る?

かどうかはともあれ

暗い海で彷徨う幽霊船のような

和吟さんのくねくねした身のこなしに

お客様は大笑い

2曲目は暗闇の中サングラスをかけて

そう、グラサンといえば

[少年時代]井上陽水

一緒に口ずさんで場を盛り立ててくださるお客様たち

というか、若い女性に

和吟さんにんまり

「待ってました」

大トリは自称真打

DR(ドラマリーディング)である

一葉はわが一座の‘看板女優’百合やさん

その母多喜にあやめさん

幽霊花蛍にはモモカさん

そして

一葉の妹邦子には・・何ということでしょう

ゲスト出演のMIWAさん

ぶっつけ本番です

舞台は吉原界隈

気の毒なお女郎さんを助けたいと願う一葉に

母多喜が嫌味を言う

「よくそんな口が利けたもんだね」「だいたいお前はねえ・・」

そこに駆け込んで来る妹邦子

「お母さんこそ恥知らずよっ」

母親に食って掛かる

たじろぎながらも必死で虚勢を張る母多喜(あやめさん)

「んな、誰のおっぱい飲んで育ったと思ってるんだ

江戸弁の見事な啖呵!

邦子はさらに激しく

目に涙を浮かべて母親を責めたてる

現代っ子MIWAさん真柏の演技

おろおろする古風な一葉

3人の掛け合いはこのDR最大の見せ場であるが

それにしても、‘玄人はだし’とはまさにこのこと

幽霊用ドライアイス係として傍らに控えていた私は

感動で鳥肌が立つほど

母親を責めずにいられなかった邦子の悔し涙

泣きながら去っていく母多喜の

しょんぼりした後姿が観客の哀れを誘う

「よっ、お多喜さん」

火葬場の煙は今日も北風に乗って漂う

 ひゅ~~

幕が下りても立ち去り難いご様子のお客様方と暫し歓談

e

時は立秋

十三夜の月は

西にすっかり傾(かたぶ)いていた

翌朝の<しずかの間>の

何事もなかったかのような

爽やかな佇まい

f

あの狂乱の宴は

夢かうつつか